冷蔵庫やエアコンの冷媒として使われているフロンは、私たちの生活になくてはならないものです。しかし、オゾン層破壊の原因物質および温室効果ガスでもあり、取り扱いには注意を要します。そのため、より管理を厳重にするべく、改正フロン排出抑制法が令和2年4月1日に施行されました。今回は改正フロン法の内容や、管理者に求められる対応について見ていきましょう。
■改正フロン法のポイント
フロン類は20世紀中盤から、冷媒や溶剤として幅広く使われてきました。しかし、環境に与える影響があまりにも大きいと判明したため、1990年ごろから世界中で規制が加速。日本でもフロン排出抑制法(旧・フロン回収・破壊法)が施行され、フロン類の製造・使用・回収・廃棄について厳しい制限が設けられたのです。
数年前から特定フロンというオゾン層を破壊するものから、代替フロンへの切り替えが推奨されています。代替フロン類は特定フロンのようにオゾン層の破壊はしないものの、特定フロン同様に強い温室効果を排出するといわれています。地球温暖化防止に向け、フロン類の排出抑制はもちろん、機器廃棄時の適切な回収が必要です。
引用:環境省Webサイト
引取証明書の交付義務
フロン類の回収後、機器の処分や買取などを依頼する場合は、フロン類の回収業者が発行する「引取証明書」の写しが必要になりました。証明書がない場合、機器の引き取りはできません。
書類関係の罰則強化
フロン類の回収依頼書・委託確認書・引取証明書の写しを交付しなかった場合や、その内容に不備・虚偽があった場合、さらに3年間保存しなかった場合は、30万円以下の罰金が科されることになりました。
回収に関する罰則強化
今回の改正の目玉ともいえる部分です。フロン類を回収せずに機器を廃棄した場合、行政指導などを経ることなく、直接50万円以下の罰金が科されることになりました。従来は、発覚後に注意・指導に従わなかった場合にのみ罰金が科されていましたが、改正により「一発アウト」になったといえます。
■フロンを適切に処理するためのポイント
改正フロン法により、機器の管理者の責任は今まで以上に重くなりました。対象となる機器は、家庭用エアコン、業務用エアコン(カーエアコン除く)、冷蔵庫、冷凍冷蔵装置で冷媒としてフロン類が充填されているものなどさまざまですが、管理者はどのような点に注意すればいいのでしょうか。機器の使用中と廃棄時に分けて見ていきましょう。